序章「すべての始まり」
私の名は村上真紅、
某県翔栄町にある翔愛学園に通う普通の女子高生兼カレッジ生。
いつものように学園に行き、いつものように授業を受け
いつものように友達と喋り、いつものように帰宅する。
そんな何不自由ない毎日を送っていた私が体験し記録した物である。
あれは一体何だったのか?今でもわからない。
ただ1つわかる事は、普通の人なら絶対体験しないような事件に
私は巻き込まれたという事だけだ。
これは、そんな事件に巻き込まれた私が手記として書かせてもらったものだ。
読者のみんなは突然の手記に戸惑うだろう。
だが体験した私も戸惑い隠せないほどの出来事だったと言ってもいい。
兎にも角にも、私が体験した事を書き記そうと思う。
事の始まりは3月の始め頃の事だ。
期末試験も終え、春休みを迎えようとしていた時の事。
私は理事長に呼び出され、理事長室に向かったのだ。
そこで出会ったのはとある女性、飯田橋初音さんだ。
彼女との出会いが、後に起こる大事件の序章に過ぎなかった。
彼女について理事長から説明を受けた。
どうやら彼女は10歳でアメリカの名門大学を首席で卒業したらしい。
所謂”飛び級”と言う奴だ。
漫画とかでよくあるけれど、実際に会うのは初めてだろう。
こんな年下の娘が名門大学を首席で・・・
上には上がいるんだなと実感させられたものだ。
だが、そんな彼女が何故翔愛学園に来たのだろう?と
疑問に思っていた私に理事長は説明してくれた。
どうやら初音さんは天使の研究の為、学園にやってきたようだ。
理事長の許可をもらい、これから研究するらしい。
この後理事長に「協力してやって欲しい」と言われ
私も天使の研究の手伝いをする事になった。
もっとも天使の研究なんて、どうやって研究するのかさえ
この時はまだわかっていなかったのだが…。
兎にも角にも、またメンドクサイ事に巻き込まれたなぁと思いつつ
私は初音さんと共に、天使の研究を始めた。
と言っても初音さんが1人で勝手にぐいぐい移動するものだから
後を追いかけるだけで精いっぱいだったが・・・
初音さんは階段踊り場にいた。
どうやらここで測定を始めるらしい。
生徒達の邪魔にならないのだろうか?とも思ったが問題はなかった
たまたま生徒が通らなかったからな
で、何を測定するのか聞いてみたところ
「天使のエネルギー」を測定するらしい。
天使のエネルギーを測定って、一体どうやって?
そもそも天使のエネルギーって測定できるものなのだろうか?
初音さん曰く、天使が出現する時はある種のエネルギーが増えるらしい。
私はあまり実感はないし、よくはわからないが
その手に詳しい彼女ならわかるのだろう。
さらに話を聞いていると興味深い事が聞けた。
どうやら人の善い行いや善い感情を抱く事でもエネルギーが発生するらしい。
そしてその逆のパターンもあるとの事、悪意を感じた時に生じるエネルギーなるものもあるらしい
で、肝心なのがここだ、
「天使が見えるようになるには善のエネルギーが増えなければならない」
つまり善い行いをして善のエネルギーを増やさないと天使が見えなくなるらしい。
つまり私達が天使が見えるのは、善のエネルギーが増えている結果によるものらしい。
さらに話を聞いていると、とんでもない事が発覚した。
初音さん曰く、悪のエネルギーが急激に増えているとのこと。
どういうことなのか聞いてみると、どうやら上の階から悪のエネルギーを感じるらしい。
つまり上の階に悪い事を考えている人がいるという事なのか?
だとすると善のエネルギーが減り天使が見えなくなるということ?
これは事件にニオイがする。
今まで頼まれごとと言う名の事件を解決してきた名探偵 村上真紅の出番か?!
とシリアスに決めてみたものの、まだ何もわかっていないので、
どうすればいいか初音さんにアイディアを求めたものの
「私は科学者であって牧師じゃないから」と言われ、このまま測定を続行する事に
結局私が確認するということで、初音さんの忠告を肝に銘じ、上の階に行ってみる事にした。
3階階段前まで来てみると、ゴスロリっぽい格好をした女の人と出会った。
見たことのない人だった、新入生だろうか?
ここは先輩として挨拶しておこうと思った私は、普通に声をかけたのだが・・・
声かけた事に驚いたのか、彼女は階段から足を滑らせ、落下しそうになっていた。
危ない!そう思った私は、彼女の手を掴んだ。
けれど、態勢を崩してしまい、一緒に階段から落ちてしまった。
その後意識を失った私は、保健室で目を覚ました。
どうやら生きているようだった。
よかった、このまま死んじゃったらどうしようかと思った。
小早川先生の話によれば、階段の下に倒れていて
たまたま通りかかった人が保健室に運んでくれたらしい。
その人には後でお礼を言うとして助けたあの娘は無事だろうか?
どうやら彼女も無事だったようだ、よかったと安堵したものだ。
彼女は姫野美沙さん、予想通り新入生のようだ。
どこかクールな印象がある彼女は、たじたじながらも怪我がない事を伝えた。
小早川先生が退室した後、私は自己紹介でもしようかと話かけた。
だけど彼女は馴れ馴れしいとキレられてしまった。
階段から落ちそうになってた彼女を助けた人に対してそれはないんじゃないかな?
とやんわり注意すると姫野さんは冷たい態度で
と一蹴されてしまった。
まさかそこまで一蹴されるとは思わなかった。
だけど、人を助けるのに理由なんてないと私は思っている。
別に正義のヒーローを気取るつもりはないけれど、
人を助ける事は別に間違っちゃいないと思っている
だけど姫野さんにとってはそれは甘い考えらしい。
どうやら私と姫野さんじゃ話がかみ合わないようだ。
どうやら彼女とコミュニケーションをとるのは難しいようだ。
ううむ、どうしたものか・・・そう思っていると保健室に慌ただしく飛びこんでくる人がいた。
この人についても何も情報がない、見たところ姫野さんの関係者だろうか?
美沙様と呼んでる辺り、執事とか?
姫野さんが階段から落ちたと聞いてやってきたようだ。
どうやら彼は下僕らしい。
そして下僕である以上、彼女を守らなければならないらしい。
ひょっとして姫野さんはどこかの大金持ちの人なのだろうか?
まだまだ彼女についてはわからない事だらけだ。
何とも言えない人が入学してきたものだ。
その後、姫野さんは下僕と名乗る男性にお仕置きするとか言い出し、慌ただしく保健室を出て行った。
お、お仕置きって・・・一体どんなお仕置きが・・・(ドキドキ)
はっ、別にお仕置きに興味がある訳じゃないからね!
鞭で叩きたいとかそんな事思ってないんだからね!(そっちかよ)
姫野美沙、彼女については色々と調べる必要があるのかもしれない。
ひょっとしたら初音さんの言っていた悪のエネルギーの発信源かもしれない。
確証はないけど、そんな気がする。
この時、私はまだ気づいていなかった。
近い将来大きな事件に巻き込まれる事に・・・
それについての詳細は第1章以降で語られるだろう。